アルフレッド・ウォリス 海を描きつづけた船乗り画家 塩田純一著
生涯船乗りとして過ごし70歳になって妻を亡くしてから独学で絵を描いた。船舶塗装用のペンキを使って段ボールや板に帆船を描いた。素朴派の画家と言われています。
アルフレッド・ウォリスはイギリスの港町セント・アイヴスに住んでいた。前衛画家のベン・ニコルソンとクリストファー・ウッドがセント・アイビスを旅行した時に偶然ウォリスの家のドアが開いていたので絵を見た。シンプルな構図と単純な色彩で素朴な絵であるが感銘を受けた。
アートは理論と技術だけでは人の心を動かすことはできません。ウォリスは生涯船乗りであり仕事に愛情と誇りを持っていた。引退して帆船の絵を描くことは自分の人生を肯定する行為だったとおもいます。それは妻を亡くし孤独の中でも生きる力になった。
なぜ人は絵を描くのかという本質的な問いを著者はしています。西洋美術史のルールを学び評価され成功した作品だけがアートではない。アートは作品を作る過程そのものに意味がある。