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書的田舎暮らし

生贄探し 暴走する脳

生贄探し 暴走する脳 中野信子 ヤマザキマリ

認知科学中野信子さんとイタリアの歴史に詳しい漫画家のヤマザキマリさんの対談集です。おふたりの専門分野がクロスする部分が刺激的です。対談形式は二つの視点からの相乗効果があっておもしろいです。

 

日本人は空気を読んで自己主張しないといわれています。それは悪いことではないと思います。日本は平和で平等な社会が長く続いて自己主張しなければ生きていけない社会ではない。日本人のヤマザキマリさんは自己主張しなければ生きていくのは難しいイタリアで暮らして、しっかりイタリアの社会に適応されています。日本人は適応能力が高いので厳しい環境になればそれに対応できます。

 

中野信子さんは日本人がおとなしく、闘争心もなく、自己主張もできないのであれば近隣諸国に支配されていた。日本が独立した国家を維持してこれたのだから自己主張できるし闘争心もあると主張されています。

 

日本はオワコンとか、人口減少によって衰退するとかの意見がありますが、環境が厳しくなれば上手に適応していくと思います。

 

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日はまた昇る

 

 

美術は宗教を超えるか

美術は宗教を超えるか 宮下規久朗 佐藤優

 

西洋美術のルールで現代アートの評価がされます。現代アートを理解しようとおもえば西洋美術史を学ぶ必要があります。西洋美術史は宗教の知識がないと理解しにくい。この本は美術史と宗教の専門家の対談形式で書かれて読みやすくまとめられています。うまく画像が挿入されていて理解しやすいです。

 

イコンは神を見る窓であると説明されています。見えないものをみるためのもので、コピーでもよいとされています。マリリンモンロー=マリア像とすれば、マリリンモンローの写真のコピーはイコンになります。アンディーウォーホルのマリリンモンローのコピーもアートであると理解できます。

 

宗教美術が見えないものを見るイコンであるなら、アートもまた見えないものを見る力を持つものです。

 

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マニラの教会

 

 

古伊万里に魅せられて 兵庫陶芸美術館

赤木清士コレクション 古伊万里に魅せられて―江戸から明治へ― 

兵庫陶芸美術館

会期6月12日(土)から8月29日(日)

 

日本の陶磁器は西洋美術史的には工芸品として扱われていました。最近はアートとして評価されるようになってきました。村上隆さんが日本の陶器のコレクションをしているようです。

 

赤木清士コレクションは江戸から明治の作品が集められています。明治になって西洋の文化が入ってきて陶器の意匠も大きく変化しているのがわかります。見ごたえのあるコレクションです。

 

古伊万里以外の陶器も展示されていて、産地による違いも分かるように展示されています。風土の違いがよくわかります。

 

陶器がセットで展示してあるので、生活のなかでどのように使われていたかわかります。

 

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古伊万里01

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古伊万里大皿

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陶芸美術館庭園

 

 

 

 

世界のなかで自分の役割を見つけること――最高のアートを描くための仕事の流儀

世界のなかで自分の役割を見つけること――最高のアートを描くための仕事の流儀 

小松美羽著 出版社ダイヤモンド社 

 

古代中国では目の呪力を強めるために呪飾を加えた、巫女たちが敵陣にたいして一斉に呪祝を行った。戦いが終わるとその巫女をとらえて伐り殺し、その呪力を無力にする。これを蔑という。白川静 字統

 

古代から眼には強い力が宿るとされてきました。 

小松美羽さんの本を読むと子供のころから不思議な体験をされてきたようです。

小松美羽の狛犬の眼は強い呪力を感じます。現代アートのなかで最もスピリチュアル性が高い作家です。

 

有能なプロヂューサーがついていて美しすぎる銅版画家として売り出したようですが、それだけではないと思います。作品に人の魂を引き付ける強い力がある。

 

神社でパフォーマンスして絵を描いている様子は現代アートの巫女のような聖性を感じる。日本のローカルな文化を西洋美術史の中に位置づけることができるアーティストだと思いました。これから世界的評価を受けていくでしょう。

 

 

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出雲の国

 

  

川端康成「魔界」の書

川端康成「魔界」の書 疋田寛吉著

 

著者は小学生になる前から筆を持ちなれていたが、書家について習ったことはなかった。正式に書を習いたいと思い川端康成に書家を紹介してほしいと頼んだところ、書家に習う必要はないといわれたそうです。

 

川端康成の書についての考え方は、唐、宋以降の書はどのようにも書けるし、どのように書いてもよい。

 

どのように書いてもよいとは言っても、筆を持って落書きをすすめていたわけではない。初期の川端康成は唐、宋の規範となる書を身につけて正統派の書を書いています。

 

川端康成の書は端正な書から晩期の書法にとらわれない豪快な書に大きく変化しました。なぜ正統な書から異端の書に変わったのか。書に対する見方が変わったからだと思います。

 

見る力が尋常ではない。草間彌生がまだ無名のころに個展を見に行って購入しています。古美術から現代アートまで幅広く作品を収集して鑑賞しています。

 

晩年の川端康成は書以外余技であると言っていたようです。書が文学に従属したものではなく、書として独自の世界を持っているのがわかったから独自の書風を確立したのだとおもいます。

 

 

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姫路文学館 望景亭

 

 

 

 

猫のダヤン35周年 ダヤンと不思議な劇場 池田あきこ原画展

姫路文学館で開館30周年記念 特別展「猫のダヤン35周年 ダヤンと不思議な劇場 池田あきこ原画展」開催されています。

期間2021年4月17日(土曜日)から6月6日(日曜日)

 

撮影スポットが会場内に設定されています。巨大なダンボールアート「お祭り広場」革を使ったジオラマやギニョール劇場などが写真撮影できます。

 

池田あきこさんは1976年、革メーカー「わちふぃーるど」創設。1983年、自由が丘本店のシンボルマークとしてダヤンを描いて、1987年より、「猫のダヤンとわちふぃーるどの世界」をモチーフに多くの絵本や長編物語を創作されています。

 

撮影スポットを設置したり、段ボールアートを展示してSNSで情報が拡散しやすいように配慮されています。革メーカー「わちふぃーるど」を創設してものを売るということがわかっているアーティイストです。これからのアーティストはセルフプロデュースできることが大事です。

 

村上隆カイカイキキの経営者で村上春樹は作家になる前はジャズ喫茶を経営していた。世界的なアーティストになるには経営者的なセンスが必要だと思います。

 

作品を売ることを前提にして展示が考えられていると、文学館の展示を見ておもいました。

 

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猫のダヤン01

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猫のダヤン02

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猫のダヤン03

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猫のダヤン04

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猫のダヤン05

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猫のダヤン06

 

兵庫陶芸美術館 特別展 開館15周年記念特別展 「No Man’s Land-陶芸の未来、未だ見ぬ地平の先-」

兵庫陶芸美術館 

特別展 開館15周年記念特別展 「No Man’s Land-陶芸の未来、未だ見ぬ地平の先-」

会期 2021年3月20日(土)~5月30日(日)

 

No Man’s Land(主のいない、不毛の土地を表わすと同時に、意味と複数の異なる領域が重なり合った曖昧な状態)をテーマにした展覧会です。

 

陶芸の用の美からコンセプト重視の作品は伝統と断絶しているので、不毛の荒野を旅する覚悟が必要です。

 

現代陶芸の前衛的な領域と陶芸以外の素材を使った領域で活動する1970~1980年代生まれの15名の作家の作品が展示されています。

出品作家

永邦洋 Akinaga Kunihiro(1978- )

稲崎栄利子 Inazaki Eriko(1972- )

かのうたかお Kano Takao(1974- )

木野智史 Kino Satoshi(1987- )

金理有 Kim Riyoo(1980- )

谷穹 Tani Q(1977- )

出和絵理 Dewa Eri(1983- )

新里明士 Niisato Akio(1977- )

林茂樹 Hayashi Shigeki(1972- )

増田敏也 Masuda Toshiya(1977- )

松村淳 Matsumura Jun(1986- )

見附正康 Mitsuke Masayasu(1975- )

山村幸則 Yamamura Yukinori(1972- )

若杉聖子 Wakasugi Seiko(1977- )

度會保浩 Watarai Yasuhiro(1981- )

 

前衛という不毛の地を進む。若い作家たちの作品に現代アートとしての陶芸を感じました。

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兵庫陶芸美術館開館15週記念1

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兵庫陶芸美術館開館15週記念2

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兵庫陶芸美術館開館15週記念3

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兵庫陶芸美術館開館15週年記念4

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兵庫陶芸美術館開館15週年記念5