bouzan takami

書的田舎暮らし

アイデアを考える方法

思考地図 エマニュエル・トッド著 大野舞訳

著者はソ連崩壊を予測したことで有名です。この本は自分の思考方法を解説した本です。哲学は役に立たない。頭の中だけで考える思考を否定しています。

1・処理能力としての知性

例えばIQテストなどで測定できるもののことです。計算的な「処理能力」といってもいいでしょう。

2・記憶力という知性

歴史学者になるために記憶力というのも1つの知性で、アイデアや意味を見出すまでに、大量の事実やデータをかき集める必要があり、そういう意味でも記憶力は大切だと言っています。

3・創造的知性

すでに手元にあるデータを説明する、あるいは形づくるために脳にあるさまざまな要素を自由に組み合わせ、関連づけることができる知性のことです。

3の創造的知性が斬新なアイデアを生み出すといっています。

無から何かを生み出すことはできない。思考の出発点はファクトやデータを集めて関連性を見出し、通常の状況から外れたものに関心を持つことだと言っています。

この本は日本向けに書かれて日本だけで出版されています。コロナの後日本がどうなるかの予測がされています。エマニュエル・トッドの予測通りになるかどうかわかりませんが。

 

アーティストからサラリーマンになる

 

直島誕生 秋元雄史著

著者の経歴を見ると、現代アート作家として作品を制作しながら、アート関係のライターをしていた。公立美術館で招待出品をするようになっていたが、生活は不安定だった。

35歳のとき新聞の求人欄にベネッセが運営する美術館の学芸員の募集を見た。創作活動から離れて生活のためにライターの仕事に忙しく、煮え切らない日々を過ごし、自分だけが取り残されていくような感覚を抱いていた時期だったので応募した。その時の気持ちは作品制作がダメでも、何か別の形でアートに直接かかわろうと思っていた。

35歳の中途採用として企業が運営する美術館に勤めるのは、自由に生きてきたアーティストにとって毎日朝早くから出勤することからして大変だったようです。価値を認められた美術作品より現代を生きるアーティストの作品を展示する美術館にするのはやりがいはあっても大変だったと思います。

戦後の日本はアメリカの占領政策の文化的な展開として、歌や音楽、映画、アニメなどから抽象表現主義ポップアート、ハイアート、デザインにいたるまでアメリカの影響を受けてきた。これが、今の課題や現実から逃れて、過去の日本的価値か、未来のアメリカの価値のいずれかのなかで物事を考えるという、文化に対する思考の無責任主義をもたらしたと著者はかんがえて、直島のアートを日本の現代アートとして世界的に評価されるアーティストをとりあげて直島に残すようにした。

独自性こそが普遍的なものであるというコンセプトで美術館を運営しています。それは今も直島にコアな思想として残っていて、瀬戸内芸術祭にもつよい影響を残しているようです。

ベネッセを退職して金沢21世紀美術の館長に就任されて、多くの観客を集める美術館にすることができたのも土地のリアリティと独自性を重要視しているからだと思います。

追記

アーティストからサラリーマンになれるし、サラリーマンからアーティストになれます。アートの仕事はアーティストにならなくても学芸員ギャラリスト、コレクターなど関連の仕事はいくらでもあるので、途中で方向転換するのも良いかもしれません。

 

 

 

 

植松永次展ー土と火 

兵庫陶芸美術館 植松永次展ー土と火 2020年12月12日~2021年2月21日

特別展ひょうごゆかりの古陶磁-丹波焼・三田焼・王地山焼展と同時開催されています。特別展では美術館所蔵作品でアレンジした「煎茶の道具立て」や「文房飾り」、
「料理の卓飾り」を展示してありました。陶芸が日常生活でどのように使われていたかをイメージできるように工夫されていました。特別展も植松永次展も写真撮影は許可されています。

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兵庫陶芸美術館01

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兵庫陶芸美術館 飾り付け

植松永次展ー土と火展

焼き物表現の新たな可能性を探る、彫刻とも陶芸とも見える作品です。器になる前のこれからなんにでもなれる自由な存在感を持つ作品です。なぜか懐かしい気分にさせてくれる雰囲気があります。作品を見ていると開放感がありました。

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兵庫陶芸美術館02

床に作品が置いてあるので歩くときには気を付けましょう。

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兵庫陶芸美術館03

 

持たざる者が勝つ リープフロッグ

リープフロッグとは遅れていた国が先進国を飛び越えていくことです。

中国は固定電話網が発達していなかったのでデジタルが発展して、5Gでは世界の最先端の技術力を持っています。ガソリンスタンドの設置が遅れていたので、電気自動車が普及しています。インターネット環境が貧弱で既得権を持つ者がいないので、アリババのような巨大なネット企業が生まれて、持たざるがゆえに最先端の国になることができた。

アイルランドは産業がなく貧しい国と言われてきましたが、デジタル経済を推し進めてGDPは日本の2倍になっています。先進国を飛び越えて逆転してしまうリープフロッグが世界で起きています。

リープフロッグ 逆転勝ちの経済学 野口悠紀雄

著者は歴史は常に持たざる国が先進国を逆転してきた。それは国家だけでなく、企業や個人も同じで新しいものにチャレンジする勇気があれば逆転してリープフロッグできると述べられています。

買ってはいけないアート

教養としてのアート 投資としてのアート 徳光健治著

著者は現代アート販売のタグボートの経営者です。投資としてのアートの買い方が詳しく書かれています。

まず買ってはいけないアートとは。

1 価値の上がる仕組みのないところで、作品を買ってはいけない。これはギャラリーを選ぶ際に価格が上がらない安い作品ばかりを扱う店で買ってはいけないということです。

2 ずっと同じ作品ばかりを作っていて、代わり映えしない作家から買ってはいけない。買うべきは過去の作品と現在の作品を比べて、それが常に進化していて、新しいチャレンジをしているかどうか。

3 今を感じさせない作品は買ってはいけない。現代の社会を表現して斬新なテーマがあるかどうか、そして絶対的なオリジナリティが重要です。

アート購入の鉄則

1 同じアーティストの作品ばかりを買わない。幅広く多くのアーティストを知り、その中で吟味して買うことで知見が広がる。

2 ずっと同じギャラリーでは買わない。いわゆるギャラリーから見たら「いいお客さん」になってしまう。

3 工芸的な超絶技法は買う前にちょっと立ち止まる。現代アートはコンセプト重視なので技巧的に優れていても買う前にすこし躊躇したほうが良い。

4 ギャラリーでは取扱作家のファイルを見せてもらう。ギャラリーの取扱作家が20人だとすると、10軒回れば200人分のファイルを見ることができます、そうすると自分の好みの作家をみつけることができる。

5 作家の代表作を買うべし。DMやウエブサイトでメインビジュアルとなっている作品が気に入ったら買うべき。

6 インテリアに合わせて作品を選ばない。それはコレクションの幅を抑制し、良い作品蒐集にならない。

7 プロの作家を選ぶ。公募団体に所属している作家を選ばない。

作家が作品を制作し売る場合にも参考になると思います。

 

 

「グレート・ギャツビー」を追え

グレート・ギャツビー」を追え 村上春樹

 

原題はCamino Islandで翻訳者の村上春樹が「グレート・ギャツビー」を追えにしたのだと思います。プリンストン大学・ファイアストーン図書館からフィッツジェラルドの直筆原稿(長編小説5作)が強奪されて物語がはじまる。村上春樹にとってフィッツジェラルドは最も好きな作家の一人だし、プリンストン大学は身近な存在で楽しく翻訳したのだろうと思います。この小説の続編が出れば村上春樹の翻訳で読みたいです。

ジョン・グリシャムの「ザ・ファーム法律事務所」は小説も映画も見ました。社会性のある小説でしたが「グレートギャッツビー」を追えはエンターテイメント性のつよい作品です。小説を書くインテリの書店経営者と女流小説家の恋愛と古書の闇取引を絡めてハードボイルドな小説になっています。

騙る

騙る 黒川博行

帯びに「著者の十八番傑作美術ミステリー」と書いてあるように、美術系大学卒業で美術教師をしていた著者は美術の知識を持ったうえで、しっかりと取材をしているので贋作のリアリティがあります。骨董の世界は価値と値段を見極めるのは素人にはむずかしいので騙されやすいようです。美術ブローカーの騙し手口は、不動産詐欺の地面師のやり方です。

アート自体がいかがわしさを含んでいるので、いかがわしいものがアートとも言えます。アート=教養ではなくそれに+いかがわしい人物で美術ミステリー小説に仕上がっています。短編集で関西弁の軽妙な会話でテンポがよいので読みやすい。

3Dプリンターで古銭の贋作を作る話が面白かった。だましのテクニックは同じでも贋作作りの技術はテクノロジーの進歩により贋作対象が増えて、より巧妙になっているようです。