bouzan takami

書的田舎暮らし

アルフレッド・ウォリス 海を描きつづけた船乗り画家

ルフレッド・ウォリス 海を描きつづけた船乗り画家 塩田純一著

 

生涯船乗りとして過ごし70歳になって妻を亡くしてから独学で絵を描いた。船舶塗装用のペンキを使って段ボールや板に帆船を描いた。素朴派の画家と言われています。

 

ルフレッド・ウォリスはイギリスの港町セント・アイヴスに住んでいた。前衛画家のベン・ニコルソンとクリストファー・ウッドがセント・アイビスを旅行した時に偶然ウォリスの家のドアが開いていたので絵を見た。シンプルな構図と単純な色彩で素朴な絵であるが感銘を受けた。

 

アートは理論と技術だけでは人の心を動かすことはできません。ウォリスは生涯船乗りであり仕事に愛情と誇りを持っていた。引退して帆船の絵を描くことは自分の人生を肯定する行為だったとおもいます。それは妻を亡くし孤独の中でも生きる力になった。

 

なぜ人は絵を描くのかという本質的な問いを著者はしています。西洋美術史のルールを学び評価され成功した作品だけがアートではない。アートは作品を作る過程そのものに意味がある。

 

 

f:id:bouzan:20211029141801j:plain

海景01

 

あさご芸術の森美術館

あさご芸術の森美術館

 

多々良木ダムの下にあり広い空間をうまく使って作品が屋外にも展示されている美術館です。春は桜、秋は紅葉を楽しむことができます。紅葉が始まっていました。

 

 

f:id:bouzan:20211028170400j:plain

あさご芸術の森美術館01

 

1階フロアは写真撮影が許可されています。

f:id:bouzan:20211028170614j:plain

あさご芸術の森美術館02

多々良木ダムを背景に広い庭園に彫刻作品が展示されています。ダムをうまく活用して空間芸術を展開しています。

ダムの巨大な壁面を背景にするにはパワーのある彫刻が必要だと思いました。

 

f:id:bouzan:20211028170904j:plain

あさご芸術の森美術館03

 

美術館の近くにはさまざまなオブジェが展示されています。それを見て回るのは良い運動になります。

f:id:bouzan:20211028171010j:plain

あさご芸術の森美術館04

 

 

イサム・ノグチの空間芸術

イサム・ノグチの空間芸術ー危機の時代のデザイン 松本裕美

 

現代美術の拡張をしたアーティストです。美術館の中に飾られるタブローではなく、大衆が集まる空間こそがパワーのあるアートであると主張した。それまでは庭園を造るのは職人の仕事と思われてきたがそれをアートとして認めさせた。

 

第二次世界大戦アメリカの日系人は収容所に送られた。イサム・ノグチは志願して収容所に入り日本庭園を造るプロジェクトに参加した。日本庭園は日本人のアイデンティティであり多くの人の集まる場所を作った。多くの人が集まり憩う場所こそが本当のアートであると考えるようになった。

 

美術館の中に飾る彫刻だけ制作していたなら、現代アートのなかで重要な位置を占めていなかったでしょう。空間芸術という新しい概念を作ったことで世界的な評価を受けていると思います。

 

 

f:id:bouzan:20211024150622j:plain

好古園21102301

 

 

ザ・フィンランドデザイン展 兵庫陶芸美術館

ザ・フィンランドデザイン展-自然が宿るライフスタイル- 兵庫陶芸美術館

会期:2021年9月11日(土)~11月28日(日)

 

フィンランドのデザインだけでなくガラス、陶芸、家具、抽象絵画も展示されていました。1917年にロシアから独立して独自の文化を築き上げていったのがわかります。アートを産業に取り入れて経済的な成功を収めています。

 

豊かな自然に恵まれていますが冬の厳しい生活条件の中で、自然と人間の調和を目指したデザインは独特なものです。自然に対する畏敬の念がなければ自然と人間の協調は成り立たない。

 

 

f:id:bouzan:20211009154605j:plain

兵庫陶芸美術館01

立杭焼きの里

 

f:id:bouzan:20211009154934j:plain

立杭焼きの里

f:id:bouzan:20211009155139j:plain

兵庫陶芸美術館茶室

 

ずっとやりたかったことを、やりなさい。

新版 ずっとやりたかったことを、やりなさい。 ジュリア・キャメロン著 菅靖彦訳

 

本当にやりたいことを見つける方法について書かれた本です。

著者は映画製作 脚本、小説、作曲と自分のやりたいことを追求しています。長い鍛錬をして技術や専門知識を修得しても、それが心から楽しくなければ、やめることを進めています。本当にやりたいことがあれば方向転換をする。それをしないで好きでもないことを無理に続ければネガティブな感情に陥ってしまって失敗する。

 

著者は「市場は黄金の牛である。黄金の牛を崇拝するとき、私たちは魂を押し殺し、自分を通して働く創造性と調和を失ってしまう。」と述べています。マーケットで売れる作品を追求すると、心の調和を乱す。他人から評価されることより作品を作ること自体を楽しむ。

 

どうすればやりたかったことを見つけられるか。誰にでもできる単純な行動です。朝起きて日の光を浴びて散歩する。そのあと自分の本当の気持ちを紙に書く。著者が自分でやって効果があったことです。自然と調和することで自分の本当にやりたいことを見つけられる。

 

f:id:bouzan:20210910135256j:plain

フラワーセンター210910

 

 

 

 

日本美術の冒険者 チャールズ・ラング・フリーアの生涯

日本美術の冒険者 チャールズ・ラング・フリーアの生涯 中野明著

 

チャールズ・ラング・フリーアはワシントンDCにあるフリーア美術館を作ったコレクターです。鉄道車両の製造で財産を築いて美術品の蒐集を始めた。ホイッスラーのコレクションが有名です。

 

西洋美術史の中では日本美術はローカルな位置づけをされていますが、ホイッスラーは美というのは西洋と東洋に共通するものだととらえていました。コレクターとして親交のあったフリーアも同じ考えをしていたようです。

 

この本の題名は日本美術の冒険者となっていますが、日本だけでなく中国、インド、エジプトとアジアの美術を幅広く蒐集しています。日本の美術を理解するには中国の美術の知識が必要です。中国や日本を旅行して美術品が生まれた風土を肌で感じています。画商だけに頼らず自分で現地まで行って調べて購入しています。美術の鑑定は専門家以上です。

 

経営の能力を生かして、画商の言いなりに購入せずに、蒐集を始めるまえにリストを作成して慎重に購入しています。作品を画家から直接購入したりしています。安全に安く購入していたようです。

 

中国の竜門石窟が有名になると盗掘したものを購入したコレクターがいたようですが、フリーアは盗掘したものを購入していません。コレクターとして厳しいルールを持っていたようです。

フリーア美術館にはフリーアが盗掘される前に写真撮影した、中国の龍門石窟の膨大な写真がアーカイブに収録されています。インターネットで閲覧できます。

 

 

f:id:bouzan:20210823165608j:plain

銀閣

 

 

 

 

 

 

 

光をえがく人 一色さゆり

光をえがく人 一色さゆり著

 

光と影をテーマにした短編集です。光をえがくには影を上手に描く技量が必要です。この短編集の主人公は人間の影である懺悔、怒り、差別、政治の暴力をアートの力で乗り越えていきます。読後感は爽やかです。

 

アジアを舞台にしたアート小説です。アジアの経済が成長している中でアートマーケットも大きくなっています。いまアジアのアーティストが評価されるようになってきています。世界のアートマーケットを牽引するのはアジアになるような気がします。

 

短編集の中の「人形師とひそかな祈り」は日本の人形とフィリピンの人形の霊的な交流が描いてあります。アートを理論ではなく霊的なとらえ方をしています。著者の新しい試みの小説だと思いました。

 

f:id:bouzan:20210812084941j:plain

フィリピン